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最高裁判所判例の概要
 裁判所HP掲載の最高裁判所判例を、体系的に整理してあります。
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 平成21年~平成30年 最高裁判所判例の概要
 平成30年 最高裁判所判例の概要(暫定・速報版)

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 平成21年 最高裁判所判例の概要

 平成20年 最高裁判所判例の概要

1 憲法
 人権の分野での判例が相次いだ。国籍法3条1項と憲法14条の関係を判断した平成20年6月4日の2つの大法廷判決、住民基本台帳ネットワークシステムと憲法13条についての最判平成20年3月6日、わいせつ表現物(関税定率法)と憲法21条1項についての最判平成20年2月19日、公務員宿舎へのビラを投かんと憲法21条1項についての最判平成20年4月11日がある。
 統治の分野では、婚姻費用の分担に関する処分の審判に対する抗告審が抗告の相手方に対し抗告状及び抗告理由書の副本を送達せず、反論の機会を与えることなく不利益な判断をしたことと憲法32条についての最決平成20年5月8日がある。


2 行政法
 土地区画整理事業の事業計画の決定は、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるとする最大判平成20年9月10日は、最大判41年2月23日を変更して、広く抗告訴訟の門戸を広げるものとして、最重要判決に位置づけられよう。
 国家賠償の分野には、弁護士会の設置する人権擁護委員会が受刑者から人権救済の申立てを受け、同委員会所属の弁護士が調査の一環として他の受刑者との接見を申し入れた場合において、これを許さなかった刑務所長の措置に国家賠償法1条1項にいう違法がないとする最判平成20年4月15日がある。このほか学校事故についての最判平成20年4月18日がある。
 地方自治法については、住民訴訟関係の最判平成20年11月27日、最判平成20年1月18日、最判平成20年3月17日の3つの判決が出ている。
 個別法の分野では、住所についての最判平成20年10月3日、建築基準法関連の最判平成20年11月25日、国民年金法関連の最判平成20年10月10日、生活保護法関連の最判平成20年2月28日が出ている。
 税法固有の分野では、最判平成20年9月12日、最判平成20年9月16日、最判平成20年10月24日が出ている。


3 民法
 総則の分野では、振込みに係る預金の払戻請求と権利の濫用についての最判平成20年10月10日、共有の性質を有する入会権の処分につき入会集団の構成員全員の同意を要件としない慣習の効力についての最判平成20年4月14日、旧商法266条1項5号に基づく会社の取締役に対する損害賠償請求権の消滅時効期間についての最判平成20年1月28日がある。
 契約法の分野では、コンビニエンス・ストアのフランチャイズ・チェーン運営者の報告義務についての最判平成20年7月4日、賃料自動改定特約についての最判平成20年2月29日がある。
 不当利得(ないし不法行為)の分野では、一連計算についての最判平成20年1月18日、ヤミ金融業者からの元利金返済ついての最判平成20年6月10日、投資資金名下の騙取金返還請求についての最判平成20年6月24日がある。
 不法行為の分野では、暴行現場に居合わせた者の救護義務についての最判平成20年2月28日、チーム医療の総責任者の説明義務についての最判平成20年4月24日、放送事業者等と取材を受けた者についての最判平成20年6月12日がある。また、業務上の過重負荷と従業員の基礎疾患とが共に原因となって従業員が急性心筋虚血により死亡した場合における過失相殺についての最判平成20年3月27日がある。
 自動車事故については、最判平成20年7月4日、最判平成20年9月12日、最判平成20年10月7日が出ている。
 相続の分野についても、遺留分権利者が遺贈の目的物について価額弁償請求権を確定的に取得する時期についての最判平成20年1月24日、遺産分割調停調書と登記原因証明情報についての最判平成20年12月11日がある。


4 商法
 商法では、銀行取締役の損害賠償責任ないし刑事責任に関する判例が目立つ。
 商法総則の分野では、会社分割に伴いゴルフ場の事業を承継した会社が預託金会員制のゴルフクラブの名称を引き続き使用している場合における預託金返還義務についての最判平成20年6月10日がある。
 会社法の分野では、会社の商行為性についての最判平成20年2月22日、銀行取締役らの忠実義務、善管注意義務違反についての最判平成20年1月28日、最判平成20年1月28日、旧商法266条1項5号に基づく会社の取締役に対する損害賠償請求権の消滅時効期間についての最判平成20年1月28日、会社法346条1項に基づき退任後もなお会社の役員としての権利義務を有する者に対する解任の訴えについての最判平成20年2月26日、銀行がした融資に係る頭取らの特別背任行為についての最決平成20年5月19日がある。
 証券取引法の分野では、証券取引法17条に定める損害賠償責任の責任主体についての最判平成20年2月15日、旧株式会社日本長期信用銀行頭取らに対する虚偽記載有価証券報告書提出罪及び違法配当罪の成立が否定された最判平成20年7月18日がある。
 保険法の分野では、保険金請求権の消滅時効の起算点についての最判平成20年2月28日、被害者の行使する自賠法16条1項に基づく請求権の額と市町村長が老人保健法41条1項により取得し行使する請求権についての最判平成20年2月19日がある。


5 民事訴訟法
 民事訴訟法の分野では、地方裁判所にその管轄区域内の簡易裁判所の管轄に属する訴訟が提起された場合の移送についての最決平成20年7月18日、入会権確認訴訟における当事者適格についての最判平成20年7月17日、痴漢の虚偽申告を理由とする損害賠償請求訴訟における被害者の供述の信用性についての最判平成20年11月7日、金融機関が行った顧客の財務状況等についての分析、評価等に関する情報が記載された文書の文書提出命令についての最判平成20年11月25日、採石権侵害の不法行為を理由とする損害賠償請求事件に民訴法248条についての最判平成20年6月10日、一部請求についての最判平成20年7月10日がある。
 民事再生法の分野では、いわゆるフルペイアウト方式によるファイナンス・リース契約中のユーザーについて民事再生手続開始の申立てがあったことを契約の解除事由とする旨の特約についての最判平成20年12月16日、再生計画案が信義則に反する行為に基づいて可決された場合についての最決平成20年3月13日がある。
 そのほか、婚姻費用の分担に関する処分の審判に対する抗告審についての最決平成20年5月8日がある。


6 刑法
 総論の分野では、正当防衛、責任についての判例が相次いだ。自招防衛についての最決平成20年5月20日、過剰防衛についての最決平成20年6月25日、責任能力判断についての最判平成20年4月25日、妄想型統合失調症と医療観察法についての最決平成20年6月18日がある。
 各論の分野では、住居侵入罪についての最判平成20年4月11日、強制わいせつ致傷罪についての最決平成20年1月22日、収賄罪についての最決平成20年3月27日、危険運転致死傷罪についての最決平成20年10月16日、業務上過失致死罪についての最決平成20年3月3日(厚生省薬害エイズ事件)、親族間の犯罪に関する特例についての最決平成20年2月18日がある。
 個別法の分野では、関税定率法についての最判平成20年2月19日、少年法についての最決平成20年7月11日、証券取引法についての最判平成20年7月18日、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律についての最決平成20年3月4日、覚せい剤取締法についての最判平成20年3月4日、国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律についての最判平成20年4月22日、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律についての最決平成20年11月4日、公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例についての最決平成20年11月10日がある。


7 刑事訴訟法
 捜査法の分野では、公道上及びパチンコ店内でのビデオ撮影についての最決平成20年4月15日がある。
 証拠法の分野では、警察官が捜査の過程で作成し保管するメモが証拠開示命令の対象となるとする最決平成20年6月25日、警察官が私費で購入したノートに記載し一時期自宅に持ち帰っていた取調べメモについて証拠開示を認めた最決平成20年9月30日、火災原因の調査、判定に関し特別の学識経験を有する私人が燃焼実験を行ってその考察結果を報告した書面について、刑訴法321条4項の書面に準じて同項により証拠能力が認められるとした最決平成20年8月27日がある。前2者によって、取調べメモが証拠開示命令の対象となることが確立したといえようか。
 そのほか、再審について最判平成20年3月14日、最決平成20年3月24日、刑事確定訴訟記録法について最決平成20年6月24日がある。


8 労働法
 労働法分野の判例は見あたらなかった。


9 経済法
 経済法の分野では、独占禁止法についての最決平成20年3月6日、特許法についての最判平成20年7月10日、最判平成20年4月24日、商標法についての最判平成20年9月8日がある。


10 国際私法
 韓国民法についての最判平成20年3月18日がある。



新潟県上越市鴨島1-230-1
  船崎法律事務所 弁護士 船崎昌幸  (旧字体:船﨑法律事務所 弁護士 船﨑昌幸)



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